9月 3日
映画「厨房で逢いましょう(EDEN)」を観てきた。先々まで予約で一杯のお店を経営している、天才的な料理を作る主人公グレゴアは、公園でおぼれかけたダウン症の女の子を助けたことで、その母親、行きつけのカフェのウエイトレス、エデンと知り合う。女の子に届けたお誕生祝いのチョコを口にした途端グレゴアの味の虜になったエデンは、グレゴアの家に押しかけ料理の味見をさせてもらって長居をしていくようになる。料理以外の事は不器用なグレゴアは、口には出さないけれどエデンに惹かれていく。エデンの夫のクサヴァーは、嫉妬に駆られ・・・まさかの展開、エンディング。エデンが無邪気を通り越してあまりにも鈍感過ぎるし、夫も単純で好きになれないキャラクター。それなのに面白かったのは、グロともいえるけど美味しそうだったお料理や、寡黙だけど目で沢山語るグレゴア役のヨーゼフ・オステンドルフのお蔭だろう。
観たあと、単純にフランス料理を食べに行きたいとは思わないこの映画、ブラックユーモアという香辛料のたっぷり入った、ラヴストーリーといえるかな。


 9月 5日
風邪気味なので仕事以外は家でおとなしくしている、、、で、読書が進む。
佐藤多佳子さんの「一瞬の風になれ」1部(イチニツイテ)2部(ヨウイ)3部(ドン)を読み終えた。
神谷新二君という、高校陸上部の短距離部門に所属する普通の高校生(陸上については普通じゃないけど・・・)の喋り口で書かれている。新二の周りを取り巻く友達、家族、先生達、皆それぞれに何処にでも居そうな人達、描かれるのは友情や淡い恋や陸上部のこと。不器用な新二が、100mスプリンターとして成長してゆく。心技体がひとつになった主人公と共に風を切るように駆け抜けるように一気に読み終えた。
スポーツは苦手で走ることも苦手、バトンを手渡すリレーなんて恐怖でしかなかったことを思い出しつつも、途中涙したり、笑ったり、鳥肌が立ったり、悔しがったりしながら、素直に読ませてもらった物語。爽快な本だった。青春万歳!
佐藤多佳子さんは、映画「しゃべれども しゃべれども」の作者ということで知った作家、今度は「サマータイム」「九月の雨」を読んでみたい。この人らしく、やっぱり優しく温かで悪人の出てこない作品かしら。
 9月 9日
今日は重陽の節句。 中国では奇数は縁起のよい陽の数とされているそうだが、 一番大きな陽の数である九が重なる9月9日は五節句のひとつ。
1月7日の七草の節句、3月3日の桃の節句、5月5日の端午の節句、7月7日の笹の節句に続いて、菊の節句。 こう暑いと、菊薫る秋とは程遠いイメージだけれど・・・
9月9日9時9分に憲法9条のための何かをやる、という新しい催しの動きがあるらしい。
朝の9時9分には、ジムに居る予定、 夜の9時9分には、一人静かにお酒を飲んでるかな・・・
映画に行きたしと思えども、体調を考え自粛しようか、悩んでる休日の朝である。
 9月13日
昨日は、めまぐるしい一日だった。
パリ在住35年の丹野清悟画伯(なんと、板前さんであり絵筆も握ってる方なのです!)の個展を見ようとKさんと待ち合わせていたので、銀座で地下鉄から地上に出たら、毎月箱崎ロイヤルパークホテルでご一緒しているピアニストさんとパッタリ!彼女もギャラリーにお連れしたら、画伯と同じ故郷だったりして・・・ 
パリやノルマンディーの景色を堪能した後は、ライヴハウスに入るまでの時間つぶしに有楽町の映画館に向かうと「安倍さん辞任」の号外と、民主党と書かれたバンと、報道陣の群れ。誰が居るのかと覗いても姿は見えず・・・ 映画「レミーのおいしいレストラン(Ratatouille)」へ。この映画、ネズミが結構リアルなので、嫌いな人にはちょっと勘弁して~~かもしれないけど(^^;原題の「ラタトゥイユ」の意味が判る最後のほうのシーンで、涙がぽろり。ほっこりと、温かい気持ちになっていざ仕事場へ。
ライヴには、なんとまぁ、さっきの画伯が来てくださり、審査を受けるつもりでフランス語で歌ったりして(笑)、懐かしいお顔にも囲まれ、遅い時間にも友達の歌い手さんやお客様もお見えになり午前様。
楽しく過ごしたけど、長~~い一日だった。久し振りにお酒が残っている朝である。







 9月15日
昨日渋谷で観た「ミルコのひかり(Rosso come il cielo)」は、盲目の音響技師ミルコ・メンカッチの子供時代の実話に基づいた映画である。
1970年、事故で視力をなくしたミルコ少年は、ジェノヴァの全寮制の盲学校に入れられる。元々映画好きなミルコは音を録ることに目覚める。寮の管理人の娘、やんちゃな少女との出会いもあり、目の見えない仲間の少年達も巻き込んで「音の物語」を作っていく。音の世界と出会った子供達も活き活きと変わっていく。頭の固い校長に物申して彼らを見守る担任の神父の力も大きいのだけれど、学芸会には感動の物語が披露される。世論まで変えて、障害者の閉ざされた世界という教育の方法も変わっていく。センチメンタルになりすぎず、ユーモアもたっぷりで、強く前向きに生きていく少年達の姿が描かれている、素晴らしい作品だった。
ミルコの故郷トスカーナのせつないほどの美しい景色を見ていると、盲目の歌手、やはりトスカーナ出身のアンドレア・ボッチェリの顔が浮かんできた。
 9月18日
どうも絵を描いているようで、キャンバスをどんどん真っ黒に塗っていくと、真ん中に白抜きの十字架があった、最後の一筆は斜めに朱い色をしゅっと刷く・・・しっかり目に焼きついている鮮やかな色の夢。絵筆を握ってる感覚も残っている、リアルな夢で目覚めた。もうすぐ9日間北海道への旅の仕事があるので、絶対風邪をひけない、バテちゃ駄目、と強迫観念があるせいだろうか?夢占いしたら、どんな意味があるんだろ?
この間、激しい運動の後にどうぞ、と頂いたのが濃縮酸素、その名も「サンソクン」 スポーツの後じゃなくてお酒をたっぷり飲んだ後にシュッと吸ってみたのだけれど、効いてるんだかどうだかよくわからん。それにボトルがえらく軽い、そりゃそうだ、中身は空気だもん・・・ね。
このボトルを下さったIさん、ごめんなさい、猫に小判、豚に真珠、かも~~
 9月20日
明日21日(金)から29日(土)まで 苫小牧「カプリス」に歌いにいく。
苫小牧唯一のシャンソニエ。 山崎三繪子ママとピアニスト千葉昭治さん、大好きなお二人に一年振りでお会いできる。
毎月、月末に9日間ゲストが入るという「カプリス」 今回も、久し振りのお客様たちに沢山お目にかかれるかな。 出張を作って、また東京からもお客様が来てくださるかな。道内のいろんなところから車を飛ばして来てくださる方たち、お元気かな。
随分涼しいと聞いている。ホテルの窓から見える空の表情も、歩いて行ける海の色も、素晴らしい苫小牧。残暑の東京を抜け出し、自然を満喫してくるつもり。
「カプリス」苫小牧市大町2-4-4 三和ビル1F(0144-36-6656) チャージ¥3000+ドリンク 【ステージ】20:00~ 3~4回  23日(日)は休業、23日(振り替え休日)は営業。 いらっしゃれる人、この指と~~まれ(*‘‐^)-☆
 9月22日


《ふるさと海岸》


  《ポロトコタンにて》
苫小牧「ト・マク・オマ・ナイ」 沼の山奥にずっと入っていく川という意味のアイヌ語。
苫小牧で一夜明けた昨日は、九州から聴きに来てくださったお客様と一緒にふるさと海岸に海を見に行ったあと、 白老のポロトコタン(アイヌ村)まで出かけた。 ポロト湖も美しく輝いていた。
緑もだが、水を見ていると落ち着く私。 今日はこれから、港まで出かける。 港に着いたイカ釣り船まで、箸と生姜と醤油を持っておいでというので(笑) (・・・嘘です、それもちゃんと用意してくれてます~) 釣りたてのイカをご馳走になってくる。

昨日も一昨日も、一年振りの方達にお目にかかれて、嬉しい日々。
爽やかな気温の中、爽やかなお顔に囲まれ、爽やかに過ごしている。
 9月23日
なんてったって、とれたて。 さっきまで生きていたイカとたわむる~
吸盤、ものすごい力!(真ん中の写真、実は吸盤をくっつけて遊んでます。)味も、もちろんGood! イカのゴロ(内臓)は新鮮で甘く、ミミはこりこり、身はぷりぷり。
イカをとってきてくれたこの船「キナンボウ」 どういう意味ですかと聞いたら、地元の方言で、マンボウのことなんですって。
 9月24日
なんてったって、とれたて。 今度はマツタケ~~
今年は暑くてまだ出てないとか・・・残念ながら一本しか採れなかったけれど、きのこの王者マツタケ、炭火焼きでいただきました。初物なので東の空をあおいで、笑って食べました(^^v
丸山遠見望桜から見た樽前山の雄姿も、美しいでしょ!360度のパノラマです。
毎日遊んでばかり・・・じゃなくて、ちゃんとお仕事もしてますから、ご安心を(^^; 今夜も仕事なので、これから昼寝します。
 9月26日
東京も美しいお月様ですよと数本のメールがきたが、 昨日はホテルの窓から素晴らしい中秋の名月が見られた。

苫小牧は王子製紙とアイスホッケーの町。郊外じゃなくて駅前に大きな煙突が立ってて、製紙工場があるというのも、すごい。そうそう、悪名高きミートホープの工場も、散歩の途中に見つけた(^^;
繁華街はあまり人が居なくて、景気は決して良くないようだけど、 そんな中、お出かけくださるお客様に感謝・・・
苫小牧、あと4日。一生懸命つとめます!
時間がいっぱいあるので、 ネイルサロンに行ったりタトゥーを彫ったりしています。(←タトゥーは嘘です ;⌒ー⌒)
 9月27日
今日の苫小牧は雨模様の曇り空。まさに映画日和(^_-)-☆ そのうえ嬉しいことに、こちらでは木曜日がレディースディ¥1000なり~ で、「ミス・ポター」を観てきた。「ピーターラビット」の作者であるビアトリクス・ポターの半世を綴った映画である。
1900年初頭のロンドンが舞台、上流階級の家に生まれ育ったビアトリクス32歳。この年齢で結婚をしないなど、当時の女性にはありえないこと、絵本作家という職業を持つことも。彼女を売り出す出版社のノーマンとの恋、ただのお嬢様じゃない信念の人であった彼女の選んだ人生に、心揺すられた。
湖水地方の景色も素晴らしく、絵本のキャラクターが動き出すシーンもあって、夢に遊べる。
「When You Taught Me How To Dance」という曲はオリジナルだそうだが、どこかで耳にしたことのあるスコットランド民謡のような美しいワルツ、これも効果的に使われてて、涙、涙、だった。
 9月28日
今日も18℃の苫小牧、毎日がそんな気温の世界に居ると、暑いという感覚がなくなってくる。東京からのメールによると30℃を越える残暑だとか!戻った東京で、残暑が待ってなきゃいいんだけど・・・
昼間はお土産の買出し、ついでにこちらは衣料品が安いので、 ついついマフラーやらコート、Tシャツなんかも買っちゃった(^^; それから、ネイルサロンも信じられない安さ。ストーンもつけて飾ってもらって、¥525、ねっ、安いでしょ?
これから、日高からのお客様が車を飛ばしてきてくださるので、夕方はイタ飯をご一緒する。
昨日の夜の宴会に続きカロリー採りすぎ、あらら、やっぱりかなり体重増加かなぁ~ 我、肥ゆる秋(*_*)
 9月29日
映画「エディット・ピアフ(La Môme)」今日から苫小牧でも上映だ。「幸せのレシピ」とどちらを観ようかと悩みつつ、 やはりまずはLa Môme Piafを観たくなり、行ってきた。フランスが誇る偉大な歌手ピアフの人生が、事実に基づき丁寧にえがかれている。たった47年間だが、何しろ波乱の人生、ピアフの一生をまとめるのは大変だった事だろう。我がレパートリーに入っている曲も次々と流れるので、心してもう一度歌いなおさなきゃ・・・なんて考えながら、その歌声を聴いた。沢山の名曲が良いシーンと絡んでちりばめられている。歌声はピアフの声だけど、演じるマリオン・コティアールは、ピアフが乗り移ったかのよう。150センチに満たなかったピアフを、声色も姿もよく真似ていて、あの「プロヴァンスの贈りもの」の女優さんと同じ人とは思えない。さすがに女優さんはすごいものだ。

映画のあとには、もう明日苫小牧を離れてしまうので、名残を惜しんで海岸を散歩。嬉しさもせつなさも淋しさも温かさもひっくるめて楽しんだ苫小牧の9日間、もうすぐ最後のステージである。
ピアフのように、精一杯の愛を込めてお届けしたいと思っています!


(DiaryのTOPに戻る)