6月 1日
ここ数日仕事がオフだったので、毎日色々なものを見聞きしてきた。美術館、講談に落語、SKDのSTASレヴュー、そしてもちろん映画も・・・。
映画「ツォツィ」は、主人公ツォツィ(不良、チンピラの意味)と呼ばれる、すさんで投げやりな目をした少年が、拳銃で脅して盗んだ車に居た赤ちゃんを見捨てられなかった事から始まる。貧富の差やエイズ、ストリートチルドレン、南アフリカの抱えている多くの問題を思い起こさせる背景が絡みあいながら、物語は進んでいく。少年は変わってゆく。最後に少年の流す涙は、南アフリカの希望の涙のような気がした。やはりチンピラの役で出演もしているZOLAの音楽もGood。重いけれど素晴らしい映画だった。
うって変わって、今日観たのは「しゃべれどもしゃべれども」という、ほっこり良い気分にさせてくれる映画。ふとしたことから話し方教室をする羽目になった、パッとしない落語家、今昔亭三つ葉が主人公。教室には、無愛想な美人と、関西から転校してきてクラスで上手くいかないませた小学生と、元野球選手だった口下手な野球解説者。それぞれぴったりのキャスティングで良い味を出していたが、国分太一君がこんなに良い役者さんだとは知らなかった。わが町の見知った場所が出てくるのも嬉しかったりして・・・(^^ 心温まるこの映画の原作、佐藤多佳子さんの本も読みたくなった。
さて、早いもので今日から6月、水無月と呼ばれるのに梅雨が始まる月。紫陽花や花菖蒲といった雨の似合う花も見頃になる。雨はうっとうしい、ではなく、肌がしっとり潤うわぁと思って過ごそうと思う。
 

 6月 4日
土曜日は上野でフルートのコンサートを聴き、 日曜日は御茶ノ水でハモニカコンテストを聴いた。
フルートの萩原さんは普段お使いのもののほかに木製のものや篠笛、ピッコロと持ち替え、幅広いプログラム構成で楽しませてくれた。
ハモニカコンテストは午後1時スタート5時間以上ということで途中でパス。吹き吸いのある楽器だから難しく、おまけに練習不足で私はちっとも上達しないが、10歳の参加者も居たりして、決勝戦に選ばれた皆さんの打ち込み方に感心させられた。
フルートもハモニカも、吹く楽器って声に近いなぁと思いながら聴いた週末。会場に行く途中、ニコライ堂からは長いこと鐘の音が鳴り響き、しばし足を止めた。
 6月 7日

昨日はロイヤルパークホテルのトップラウンジで歌った。 毎月1回、唯一歩いていく仕事場である。 のんびりゆったり歩いて30分。 日が長くなったので、永代橋を渡る頃にはまだ明るい。 昨日は遊覧船がUターンするところに出くわした。
ラウンジでは素晴らしい夜景が楽しめるが、 聴きに来てくれた同じマンションの方に あそこがうちのマンションよ、と教えていただいた! えぇっ、うっそぉ!? ほんとにちっちゃくだけど、なんと見えるのだ(^^; もう何年も歌ってる場所なのに、知らなんだ~~
ということは、我がマンションからもこのホテルが見えるってことだよね!?
ベランダ側と違って、玄関側の廊下に長い事佇むことがないのだけれど、 今朝早速チェックしたら、目の前に結構大きくそびえるホテルを確認。 そりゃそうだ、富士山から家が見えなくとも、家からは富士山が見えるんだもんね、ってか(笑)
 6月 8日
今夜行くはずのビアガーデンツァーが満席で予約が取れず流れてしまった換わりに、 蛍狩りの予定を入れていたのだが、早朝新橋のライヴハウスのオーナーから、泣きそうな電話。 今夜出演の歌手の方が風邪でダウン、急遽トラ(私達業界用語で、代わりを務めるエキストラを略してこう呼ぶ)を探しているけれど見つからない、と必死のご様子。 で、蛍狩りメンバーにごめんなさいして、歌いに行く事に。 オーナー、これからやっと眠れるって、ホッとなさっていた。 わかる、わかる・・・ 私なども、ダウンした時に助けていただくんだから、お互い様である。
思えば、今日は遊ばずにお仕事しなさいと言う日だったのかなぁ~ あぁ明日も昼夜の仕事、今週は6日連荘で休みなし。体力に自信があるほうだけど、ちと辛い・・・ よっしゃ、頑張りまっしょい、と自分に喝!
 6月10日
先週一週間の仕事疲れをひきずってはいたものの、 ご近所の方達と予定していた鎌倉行きを決行。 出かけるときに青空だったのに、超雨女さんが一緒だったので(^^;一転にわかに掻き曇り~~雨の中の散策となった。 長谷寺の紫陽花は見頃、成就院はちょっと早過ぎで、右の写真は長谷寺のもの。
雨が似合う花だけど、そぞろ歩くにはやはり晴れてて欲しかったな。 「手毬花 雨音恋し 藍の色」なんて去年は思ってたけど、もう雨音は勘弁~~「紫陽花の 藍に寄り添う 傘の花」傘をさしつつ雷ゴロゴロドッカンの中、根性でデジカメ撮影してきた。
しらす料理のあとは、遠くからしか見たことのなかった江ノ島へ足を踏み入れる。晴れ女の我がパワーで盛り返し(?)、展望灯台からの360度の素晴らしい景色を楽しんだ。
 6月11日
見逃していた映画のアンコール上映が始まった。「善き人のためのソナタ(DAS LEBEN DER ANDEREN)」である。
壁が崩壊する前の東ベルリンが舞台。シュタージと呼ばれる国家保安局の冷徹な局員ヴィースラーが主人公である。彼は、反体制の劇作家とその恋人である女優の24時間を監視するよう命ぜられる。24時間の盗聴の途中で、表現の自由を奪われ絶望の中自殺してしまった友人の演出家のことを悼んで劇作家が弾くピアノソナタ。流れくるメロディーに涙するあたりから、彼の表情は変わっていく。音楽が人を善人へと変えていくシーンである。恋人を裏切ってしまいそうな女優の立場、ヴィースラーがとっている行動がばれるのではと思う駆け引き、観ていてだんだん緊張して手に汗握って息苦しくなってくる。そして、驚きの展開。
ベルリンの壁の崩壊後に、自分を助けてくれたヴィースラーという人物が居たことを初めて知った劇作家のとった行動。最後に温かく射してくる光に、号泣の映画だった。こんなに素晴らしい作品に出会えるから、映画館通いは止められない。
 6月14日
そろそろ梅雨入りしそうだ、傘が手放せないお天気が続いている。
扁桃腺の腫れがひかず痛いからだろうか、口をあけて風をきって自転車に乗っている夢を見た。真っ赤に腫れた咽喉を自分で覗いているのは、夢であればこそ。自転車で転びそうになるが、とたんに空を飛ぶ。まるで、映画E..T.のエンディングのようだ。あぁ、フロイト先生に言わせたらどんな心理状態なのだろうか?
若い頃とは違うんだからゆっくり休養をとらないと体調がキープできない、と頭ではわかっていても、つい動きまわってしまうこの性格。マネージャーが居ない分、やる事が多いというのも現実。今年ももうすぐ半分終るけれど、もっとのんびりと・・・と呟いている。
 6月17日
初台の新国立劇場にて、リヒャルト・シュトラウスのオペラ「ばらの騎士」鑑賞。
なまのオペラ体験は数えるほどしかないし、この作品はもちろん初めてなので、あらすじは調べて頭に入れて行った。今回はヨーロッパにオペラ目的に数ヶ月滞在したことがあるというオペラ通とご一緒だったので、装置や演出の違いなども教えていただき、観どころや聴き所も前もって教わったので、数倍楽しめたと思う。
歌はもちろん演技力も必要とされるオペラ。最後には私の隣のご夫人がはらはらと泣いておられたが、確かに三幕目のマルシャリンとオクタヴィアンとゾフィーの三重唱は素晴らしいもので、三つの声が絡まって一枚の布を織り上げていくかのよう。美しいメロディーが胸にしみ、私もしっかりのめりこんでしまった。
上質で贅沢な時間に心洗われた日だった。
 6月21日
福生と言う地名は何度も聞いていたが、初めて足を踏み入れた。福生生まれの画家、栗原一郎さんのアトリエに伺ったのだ。
ご縁が出来たのは、先日屋久島クルーズ旅行をご一緒したS子さんのお蔭である。この栗原さん、クリムトともエゴン・シーレとも違うのだが、ちょっと似たような要素を感じていたら、やっぱりどこか常人とは違う魅力に溢れた人だった。福生のご自宅の目の前には畑が広がり、ご自分で育てた野菜でもてなしてくださり、大きく真っ白な秋田犬や小鳥やカブトムシを飼い、自然児の様な生活をなさってるのに、その作品の色っぽさはどうだろう。筆を持つ時にはエネルギーを込めてヘトヘトになるというのがわかる、そんなまなざしをしておられた。ワクワク好奇心とドキドキ緊張で伺ったのだが、シャンソンにお詳しくて、18歳の頃から銀巴里に通っていたと言う話も出たりして、あっという間に数時間が飛び去った。素晴らしい画家の片鱗に触れさせていただき、又お邪魔すると約束して、後ろ髪を引かれつつおいとました。【HP】栗原一郎の世界http://homepage3.nifty.com/snowy-m/kurihara.htm
 6月22日
昨日お会いしたH子さんから、手作りの梅ジュースをお土産に頂いた。甘さ控えめで美味!
暑かった昨日は素麺を食べたくなり、以前さっぱりと美味しいからやってみてと言われていたので、素麺つゆにゴーヤすりおろしを入れてみた。青臭さや苦味が苦手じゃなければ、なかなかにGood。ちょっとしか使わなかったゴーヤが余ったので、今日はサラダに。 薄く切ってさっと茹でて絞り、さらし新玉葱とツナ缶を加え、 塩コショウとマヨネーズで和えるだけ。
我ながら健康的な食生活。 梅ジュースやゴーヤで今日の蒸し暑さもなんのそのという気分!
明後日は須賀川でディナーショー&カクテルショー。1時間2回のステージ、ちとハードなのでしっかりパワー付けとかなくっちゃ!みなさんも、どうぞ夏バテにご注意を~~
 6月25日
初めて行った須賀川。ホテル虎屋での「やすらぎ&癒しのディナーショー」、入れ替え制で1時間2回のステージ。
昔馴染みの方から頂いたお仕事、彼とは銀巴里の最後の出演の時に聴きに来てくれて以来だったのだが、音響照明もばっちり決めてくださったし、やはり以前からの知り合いの新聞社の方が転勤で春から須賀川に来られたというタイミングの良さで何度も記事にしてくださったし、満員御礼の中、大好きな山下淳ちゃんのピアノで気持ちよく歌わせていただいた。ハードではあったが、流石に創業明治18年というだけあるホテルの方達の対応や、集まってくださったお客様のお帰りの素晴らしい笑顔に、私のほうが癒された気がする。持参したCDもありがたいことに足りなくなり、今、急いでお代だけ頂いてきた皆さんに発送した。大学の先輩のご家族や、mixiというコミュニティで知り合った方も来てくださり、嬉しい一日だった。須賀川は花火が有名、牡丹の花も素晴らしく、きゅうりやお米も美味しいところ。芭蕉の影響か、俳句も盛んだそうだ。穏やかな潤いのある町だと、住んでいる人達のお人柄も素晴らしいもんなんだなと実感して戻って来た。


 6月27日
今週で今年も半分が終る。時の流れの速いこと!
夏至の日にフランスでは「Fête de la musique」という音楽の祭典が行われるそうだ。そして、7月に入ったら14日はご存知パリ祭。日本でも、色々コンサートが催される。
日本シャンソン協会に所属していないので、石井好子さんプロデュースのパリ祭はいつも見る側である。出演歌手の皆さんは、ソロの歌以外にもコーラスや振り付けのリハーサル等、さぞや大変なご努力だろうなと思いつつ、毎年客席から楽しませていただいている。以前そのパリ祭コンサートで、司会の永六輔さんが、いろんなジャンルの音楽を漢字ひと文字で表し「情=日本の曲 恨=韓国 訴=ゴスペル 哀=タンゴ 祈=ファド 憂=ブルース 粋=シャンソン」(←必死で覚えて帰って、すぐに書き出したのだが、ちと間違いがあるやもしれませぬ)とお話なさってて、言いえて妙と思った。永さんのトークも楽しみのひとつ。今年は7月8日に聴きに行く予定だ。
「Quatorze Juillet(パリ祭)」の譜面も、そろそろ持ち歩かなくては・・・
 6月29日
昨日は銀座の「ボンボン」というライヴだった。ここは4丁目の王子製紙のすぐ近くという足の便の良いところ。そして、地の利だけではなく、経営しているお二人、福浦光洋さん&珠木美甫さんの歌もおもてなしも素晴らしいので、心地良さがお客様に伝わるのだろう、いつも、すてきな聴き手のお客様で一杯である。
昨日は、愛媛新聞の私の記事をご覧になって、同郷の方が聴きにきてくださった。初めての方が、HPからライヴを選び探してお出かけくださる、こういう嬉しいプレゼントがあると、歌ってて良かったと心から思う。
先日お客様が、病院に行ったら看護婦さんがてきぱき対応して容姿も中以上で揃えてて(←その方曰くですよ^^)、シャンソニエも歌い手(医者)だけでなく接客(看護婦)も大事と思った、とおっしゃっていたが、確かにそう。
この「ボンボン」は、2ヶ月に1回、偶数月に出演が決まっている。次回の8月が楽しみである。
 6月30日
また好きな映画に出会った。渋谷のシネマライズで上映している「それでも生きる子供たちへ(All the Invisible Children )」貧困、戦争、エイズなど多くの問題の中、生きている、そして生きていく子供達がテーマの短編7作品、オムニバス映画である。
ルワンダの少年兵、衝撃的なシーンから始まる1作目、盗みで少年院に逆戻りするジプシー少年、HIV感染者である少女、ブラジルの拾った廃品を換金して暮らす兄と妹の話などが続く。最後は中国の貧しいけど清らかな心を持つ少女小猫(シャオマオ)と裕福ながらも心が乾き切ってしまった少女桑桑(ソンソン)との物語「桑桑と子猫」。これでは、大泣き・・・ 最後に位置するのもわかる作品、心が洗われるようなエンディングだった。
エイズの少女の「アメリカのイエスの子ら」でも、ひと泣き・・・ 貧しくても明るく人生を楽しんでいる兄と妹の「ビルーとジョアン」好き!それから少年院に戻ってしまう「ブルー・ジプシー」も! 重いテーマなのに救いがあるのは、キラキラした子供達のお蔭だろう。
サン・テグジュぺリ「星の王子様」からの「大人は誰も、昔は子供だった。でも、そのことを忘れずにいる大人はほとんどいない。」という言葉がラストに出てくるが、人混みの渋谷まで歩きながら、すれ違う、大人と子供の間にいる多くの人達の顔を眺めて、複雑な思いを抱えつつ戻って来た。
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