7月 1日
さぁ、今日から今年も後半に突入である。
いつから東京は亜熱帯になっちゃったんだぁ〜と思いつつ過ごしたここ数日。大好きな夏とはいえ、この蒸し暑さが億劫になってくる歳になってしまった。
若者たちの作った俳句をおさめた『17音の青春』という本の中には、若者らしい素晴らしい句がたくさんある。この季節のものとしては「紫陽花や季節外れのリトマス紙」「夕立よこの惑星を浄化せよ」「向日葵に背中押されてサーブ打つ」等々。「向日葵とくらべたこの背もう伸びず」なんていうのもあった。
背丈が伸びないどころか縮んでる私、せめて、明日からの函館、美味しい食べ物で重さがズドンといかないように、気をつけなくては・・・
 7月 4日

《坂の町、函館》
羽田に着いたとたん、もわぁっとした空気、さっきまでの爽やかさが嘘のよう。
先輩歌手、歌川勉さんのなさっているシャンソニエ『シャンテ』には2度目の出演である。6年ぶりの函館は陽射したっぷりのいい天気、お店には一杯のお客様がきてくださって熱気にあふれた2日間だった。
初日の夜は満席のお客様と楽しい時間を過ごした後、美味しい海の幸をご馳走になり、お酒も効きがはやくて、ぐっすり。翌日は早朝から温泉三昧。昼間は、文学館や旧公会堂、イギリス領事館、ハリストス教会などをみて、坂を下り赤レンガ倉庫街へ。そして、啄木の「函館の青柳町こそかなしけれ 友の恋歌矢ぐるまの花」に惹かれて、青柳町まで路面電車で移動。函館公園に行ったあとは、啄木の愛した大森海岸を散歩。そして仕事の準備をしてから、五稜郭に向かう。またまた公園散歩。その夜も、2日続けてきてくださった方もいて、嬉しくステージを終えた。
函館の人達は反応がとても素直で、お人柄が純朴なんだなぁと思う。ご一緒にどうぞといったら大コーラスだし、声も手拍子もすぐに参加してくださる。せつない歌にもじっくりと耳を傾けてくださる。客席からのパワーがすごい!
仕事というより観光のようだった今回の旅、緑や花々や空気や、美味しいもので胸もおなかも一杯、体重やっぱり増えてしまった〜〜
 7月 8日
うれしさや 七夕竹の中を行く・・・正岡子規
短冊に願いを書いてつるしたのも、遠い日々。最近は心の中でだけつるしている。短冊以外にも、折り紙をジグザグに切って飾ったりしたなぁ、あの作り方はどんなんだったっけ?!ふるさとでは旧暦8月7日が七夕さんなので、7月だと今ひとつピンとこないが、牽牛織女の大切な日は晴れるとなんだか嬉しい。仕事帰りに空を見上げても、都会の空に星は瞬いてなかったけど・・・ね。
我が故郷はまた水不足といわれている。数年前のお盆の頃の4時間給水と言う制限つきの日々を思い出す。友達と会おうとした喫茶店、サランラップで覆われたお皿の上にケーキがのってて、サランラップをはずせば、お皿を洗わずにすむという工夫がされていた。頭がいいこと〜と感心した。もちろん飲み物は紙コップ、トイレは使えなかった。中央分離帯の花はすっかり枯れてしまってた。
その故郷、この間は極端にも集中豪雨で行方不明者も出たとか、どうせ降るならダムめがけて集中豪雨してほしいもんだ。
 7月11日

《第一ホテル東京・
アンシャンテ》
Quatorze juillet(7月14日)いわゆる「巴里祭」の時期にはシャンソン歌手は忙しくなる。
昨日は、その巴里祭にちなんだランチコンサート(新橋の第一ホテル東京)で歌ってきた。大好きなピアニスト山下淳ちゃんと一緒。お客様の多くは女性である。
自然光の中のステージというのは、いつもの夜のピンスポットの中とまた違って選曲にも戸惑ったけれど、なかなかに面白かった。お食事は、女性の美と健康をテーマに作られた創作料理。朝鮮人参や生姜やクコの実、胡麻、たんぽぽ、蜂蜜、赤唐辛子etc.を使った薬膳料理は冷房による冷えや肩こりに効くとかで、みなさんポッと温まったお顔をなさっていた。美しくなって、満足してお帰りくださったようだ。
仕事が終わってもまだまだ真昼間。私もなんだか嬉しい。夜はビール片手にバレーボール観戦、良い一日でした!

さぁ、今日は四谷『あばんせ』のパリ祭、そして明日は横浜関内『ライアー』の一周年(ここでも山下淳ちゃんと一緒)。
蒸し暑さを吹き飛ばして、今週も、がんばっていきまっしょい!
 7月14日

《月島の草市》
閉店から随分たってしまったシャンソン喫茶「銀巴里」の照明をしていた友達が佃に住んでいる。近くてもなかなか会えないのだが、昨日は久し振りに一緒にランチ。月島の路地にある彼女お勧めのお寿司屋さんの後は、珈琲店で話に花が咲き、気がつくと4時近くになっていた。月島の仲通りに出たら、草市という縁日の真っ最中。普段はもんじゃ焼きの看板ばかりが目に付く町並みが一変、近くに住んでいても知らなかった夏の風物詩は結構本格的な規模だったので、時間を気にしつつもついのぞきながら歩いた。
昔ながらのもの(射的、金魚すくい、たこ焼き、ソースせんべい、等々)に加えて、新しくマニキュア釣りとか流れるおもちゃとかあるし、食べ物ではスパ棒(スパゲティーを揚げてスパイスを振りかけたものらしい)やケバブまである。出し物も新しいが、売っているテキヤさんの年齢も、我が地元深川のテキヤさんより随分若かった。
お縁日はちょっと怪しくてソレが面白い。セピア色が似合いそうな町並み、露店の続く向こうには、40階建てのマンションがニョキニョキ、なんだか不思議な世界。昭和と平成とを行ったり来たりしたような気分の一日だった。
 7月17日
昨日は、斎藤夕希ちゃんと一緒に、伊豆高原以来の「The Dimples」第2弾!
雨女の夕希ちゃんと晴れ女の私、今回もまた綱引きで、途中夕立があったものの、結局晴れました(笑)
デュエットもいれて、おまけにピアニストがショーン星野さんで(彼は元ハイファイセットの山本潤子さんと一緒にAprilというグループで歌やコーラスもなさってる)ハーモニーもつけてくださったりして、楽しいライヴだった。早速今朝Kさんが送ってくださったのが右の写真。
この荻窪のライヴハウスは、ママのお人柄かお客様同士が仲が良くて家族ぐるみの家庭的なお付き合いが多く、年末にはお餅つきなども恒例行事になっている。昨日は、終わってからみんなで焼肉パーティー!体重を気にしつつも、しっかりいただきました〜〜 美味しいカルビやハラミ、ビールに焼酎で、暑気払い。
その後、夕希ちゃんちのパピヨン「パピコ」と初のご対面、熱烈歓迎キスの嵐にビックリしつつも目尻が下がって、うちに帰ってからは、一度お聴きしたかった黄金井脩さんのCDの歌声を聴きつつ、心地よい眠りについた。


《The Dimples》
 7月19日
昨日中国地方から一斉に梅雨が空けた。夏真っ盛りのお天気。ベランダの風鈴がいくらか涼をはこんでくれるけれど、じっとりと汗が流れ落ちる。
外で食事をする機会があって、鱧を頼んだら売り切れ。季節のものをいただきたいのはみんな同じなんだろう。
それにしても、長〜〜いお魚は夏バテに効くのだろうか?今年の土用の丑の日は28日だそうだが、鱧のリベンジ、28日は絶対にウナギ食べるぞぉ!

ヴォイストレーニングの先生のところの飼い猫「ニキータ」は自分を人間だと思っているようだ。名前を呼ぶとにゃぁ〜と鳴いて目線をくれるし、写真のようなポーズをとらせても何分間でもそのまんま。暑いにゃぁ〜と思いつつ(?!)気ままに生きてる猫がちょっとうらやましい。こちらの方がたっぷり遊んでもらったかのような午後。


《ニキータ》
 7月22日
「ラジオ体操第一、ヨォ〜〜イ!」の音で、今年も起こされた。あぁ、夏休みが始まったんだ!
最近では、私が小学校の頃と違って、夏休み中に体操に行った回数を首から下げたカードにハンコ押してもらうなんてことは無いのかな? 1、2週間で終わるらしい。集まっているのも子供達よりお年寄りのほうが多いと聞いた。お年寄りには、回を重ねて通うと缶ビールが配られるとも聞いたが、ほんとかな!?昔はスポーツ全般、体育の授業が苦手だった私、ラジオ体操も嫌々通ってた気がする。
「がんばっていきまっしょい」というTVドラマがスタートした。スポーツ根性ドラマのようだが、この間初めて見て最後の初試合のシーンに、不覚にも大泣き。敷村良子さんの原作を読んだだけで映画も観てないけれど、我が母校松山東高のボート部がドラマの中心で、実話なので、松山弁風な会話を聞きつつ、懐かしく昔を思い出した。
最近松山の同級生達との再会が続いている。長いブランクがあって会える幸せ。多感な時代を共有した友達、みんな立派になって(笑)嬉しいこと!これからも長く良いお付き合いができそうで楽しみだ。
そのうちの一人H君からいただいたすぐれものの万歩計を着けて、日々散歩にいそしんでいる。
 7月24日
昨日の地震の時には、地下で教室のレッスン中。怖かったけど、一人で自宅(11階)にいるより良かったかも。
教室が終わり姉の家に行って見たニュースで、こんなに大きかったのだと知り、電車も止まってる事だし、のんびりゆっくり過ごさせてもらって、うちに帰った。ドアを恐る恐る開けると、花瓶はセーフだったが香水瓶が倒れ、部屋中すごい香り、そして額が曲がったり、シャンプーのボトルが倒れてたり・・・でも、この程度で済んでてホッとした。
「大丈夫?」と心配してくださるメールや電話をいっぱいいただきました!ありがとうございました!!
 7月26日
昨日の朝、今年初めての蝉の鳴き声を聞いたと思ったら、どんどん蒸暑くなって、夕方にはやっぱりどしゃ降り雨。そんな中お出かけくださったお客様に、感謝。
地震の次は台風だ。台風7号が今関東地方直撃とかで、今夜のライヴはどうなるのだろうと思っていたら、さっき「お休みにします」との連絡有り。急いで、今日来てくださるのがわかっている方達に電話とメールを入れた。
急にお休みができて、嬉しいの半分、ぽっかりさみしいの半分。私ってば、結構ワーカーホリック!?
 7月27日

《台風一過の空》
台風7号はいつの間に来たの〜〜という感じで過ぎ去って、今朝は快晴!
たいした被害もなくてよかったこと。
今朝もまたラジオ体操で起こされた。そのせいなのか、最近は音にまつわる夢ばかり見ているようだ。
セミも元気に鳴いていて・・・「17音の青春」という本の中の若者達の詠んだ俳句を思い出す。
「夏休み右脳も左脳も蝉の声」・・・わかるなぁ。受験勉強中ならなおさらだろう。
ほかにも「門限を父子で破る夏祭り」「かき氷色鮮やかに自己主張」「白地図は真っ白なまま夏了る」「不器用が服着て歩く十六歳」等々、みずみずしい句が沢山。
青春って素晴らしい!
 7月28日
万葉集、大伴家持の「石麿にわれ物申す夏痩せに良しといふ物ぞ鰻取り食せ」からきて、平賀源内が広めたという土用の丑の日。夏痩せには程遠い私だけど、やっぱり鰻を食べてきた。日本橋の美国屋さん。
さすがに、お昼ごはんの時間をずらして行ってもいっぱいのお客様、みんな食欲旺盛。夏バテ解消に鰻を・・・なんて言うけれど、鰻を残さず食べられること自体健康な証拠で、夏バテなどしていないのかもね。とても、美味しかった!
鰻といえばいつも思うのだが、「ひつまぶし」を見ると、わかっているのに「ひまつぶし」と読んじゃう。なんでだろ?

《美国屋の鰻》
 7月31日
28日の土曜の丑の日には、夕方うちの傍で橋の上から横一線に飛行機雲のようなものが見えた。飛行機雲より太くていくぶん低空に横一直線に伸びていた。そして、仕事先に着いたら、たった今地震が・・・との話。あれが、話に聞く地震雲だったんだろうか。大きなのが来ませんようにと祈る毎日である。

ところで、今日も駅の階段で女性の履いたミュールのけたたましい音が気になった。夏に限らず最近ではいつも感じる事なのだが、ミュールの音は階段を下りるとき、ちょっとした気遣いであんな音にはならないのではないだろうか。自分でも履くので降りる時にちょっと指に力を入れてみると音は出ない。こんな大きな音を若い女の子がたててるのを、幸田文さんが聞いたなら嘆くだろうなぁ、といつも思う。幸田露伴さんなら卒倒するかも!
ただ勝手なことに、これが下駄のゆったりとしたカランコロンの音だったら、結構風情があると感じるのだけれど・・・。

《浴衣着ようと、出した下駄》
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